NewsPicksの「男子校ノリ」がどうにも苦手…。箕輪厚介さんに直接ぶつけてみたら

幻冬舎の編集者で、経済メディア「NewsPicks Magazine」の編集長でもある箕輪厚介さん。いま、一番ノっている編集者だ。

堀江貴文さんや落合陽一さんなど、ネット界で影響力を持つ人とタッグを組んでヒット本を連発。ビジネスに敏感な世代を熱狂の渦に巻き込み、自身のオンラインサロンの会員数は1300人を超えている。8月には初めての自著『死ぬこと以外かすり傷』を発売した。

そんな箕輪さんが、9月某日、ハフポスト日本版のオフィスにやってきた。

強烈なインフルエンサーの登場にオフィスは沸き立つ。でも、ハフポストのメンバーの多くは内心どこかビクビクしていた。

「熱狂せよ」「価値観をアップデートせよ」…。

箕輪さんが発信する言葉は、いつも「前のめり」で「ギラギラ」している。マッチョイズムの塊のように見えて、近寄りがたさを感じていたのだ。

「何でも聞いてください」。Tシャツ短パン姿で、時間ぴったりに現れた箕輪さんに、思いの丈をすべてぶつけてみた。

<聞き手:ハフポスト日本版エディター 生田綾>

 ◇

「男子校ノリ」が苦手

ーー正直に言うと、私は箕輪さんの本を読むまで箕輪さんのことが苦手でして…。

それすごい言われるんですよねぇ。(笑)

ーー堀江さんや落合さんなど、飛び抜けた考えと行動力を持ったすごい人たちが、人を鼓舞するメッセージを発しながら集まっている感じが、部活や男子校のノリみたいで…。

NewsPicks界隈の、ああいう「男子校ノリ」が苦手ってことだよね。

でも、わかるわかる。

僕はTwitterのキャラとか、自分ではあまり意識していないんだけど、使っている言葉だけ見ると確かにすごく「強い」んですよね。だから、言いたいことはわかります。

「言いたいことはわかるよ」と笑う箕輪さん。優しいです。

SNSって、画面上のやりとりだけだとどんどん過激になっていく性質があるから。水道橋博士とボクシング対決した時も、僕にとって博士のSNSの言葉はものすごく強く感じて。何でこんなことを言うのか、って思ったし。

でも、実際に会ってみると一瞬で「どうもどうも」みたいになるんだよね。

画面越しに見ているだけだとものすごく怖いんじゃないかと思うけど、会うと普通だったりする。ZOZOの田端信太郎さんとかもそうです。

ーー田端さんは、箕輪さんが手がけた書籍『ブランド人になれ』発売前も炎上していましたよね。

あの時の炎上はちょっとひどかったよね。(笑)

けど、直接会って「さすがにあのツイートはリツイートできなかった」とか言うと、本人は本当にバツが悪そうに「うーん」って悩んだ顔をしているわけですよ。

人間って、その人から出てきた言葉の一端だけ切り取ると、まるでその人は悪魔みたいな存在に見えたりするけど、実際に会って話してみると、バツが悪そうな顔をしているんですよ。

その人間的な部分はね、実際に会わないとわからないんですよね。

ただ、NewsPicks箕輪の「男子校ノリ」が苦手みたいな人に対して言うとしたら…人を引かせてしまうリスクもありつつ、やっぱり好きなんだよね。

そういうノリが好きな人も一定層いるからね。

狂熱空間みたいなものが生まれていて、バンドみたいなものに近いと思う。

ステージの上でひどいことを言っていても、その空気を共有している人達との間では、ものすごい熱狂が生まれていたりするんだよね。それが、ステージの上だけではなくてネットにも発信されるようになったから、モヤっとする人たちも周辺に生まれてしまうんだと思う。

ただ、バランス感覚を多少失ったところに一貫したメッセージがある、というのは強みでもあると思っています。

『多動力』や『お金2.0』など、箕輪さんが手がけたヒット本の一部。

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「石原さとみの熱愛報道」もダシにする箕輪さん

ーー箕輪さんは最近、SHOWROOMの前田裕二さんと石原さとみさんの熱愛報道が出た直後に、前田さんの書籍『人生の勝算』を「石原さとみをゲットするために必要な考え方、エッセンスがギッシリ詰まっております」と宣伝していて…。

あれで2万部重版したからね。

すごくない?

ーーいや、あれはツイートの内容的にちょっとどうなんだろうと…。

よくない?

・・・そう?なんで?

ーー女性を「ゲットする」と言ったり、本人の気持ち次第ですけどちょっとは配慮したらどうかとかモヤモヤが…。

その発想は、俺にないんだよな。申し訳ないことに…。

申し訳ないとしか言いようがない。いやぁ、反省しています。(笑)

「反省しています」の時の箕輪さん

——(笑)「トロフィーワイフ」のように扱ってるとか、箕輪さんは発信力があるので、その発言をした時にまわりに及ぼす影響も考えてほしいみたいな…。

そうだよね。

いや、もうそういう風に人の感情をモヤモヤさせているということは、編集者として本を売ろうとかどんな意図があろうと、それはすごくダメな行為をしているということだと思うよ。

だから、すごく、反省します。(笑)はい。慎重に行動します。

俺なんかハフポストで1日仕事しただけで、たぶん何か問題発言をしてガイドライン違反的なところに触れて通報されて、一瞬でアウトになると思うよ。

ーーあはは(笑)

俺ほど男子校的な人いないからね。男子校とかに、本当に無神経で悪気がない奴っているじゃん。そういう感じだからね。

いま女性3人(※編集部注:ハフポストのスタッフ)に囲まれてるけど、急に俺は何も言えなくなって…。

まるで職員室にいる感じですよ。「あやべー怒られる」、みたいな…。(笑)

——箕輪さんは、誰かの発言にモヤモヤしたりしないんですか?

ないない。みんなそれぞれの考えがあると思ってるし。

自分は人の発言にモヤっとすることもしないし、だから、人をモヤっとさせていることにすら気づけないんだよね。直接言われて逆にびっくりする。

繊細な女性が心から苦手とするタイプ。(笑)

だから悪意もないんだよね。悪意があったらディスカッションになるけど、そうでもないから「ごめんなさい」で終わっちゃうんだよね。

 ◇

——ただ、箕輪さんの『死ぬこと以外かすり傷』を読んで、箕輪さんへの印象がすごく変わったんです。若い人に希望を持ってほしい、というエールに満ちていると思いました。箕輪さんは本の中で、「こっちの世界に来て、革命を起こそう」と呼びかけていていますよね。

「こっち側にいる方が間違いない」とか、あえて「こっち」という言葉を使って表現したんだけど、別に分断を促す意図はなくて。

ホリエモンの時代だと、新しいことをやろうとする時、下克上みたいに上の世代を倒さなきゃいけなかったんですよ。

でも今は本当に関係ない。自分たちが正しいと思うこと、楽しいと思うことをやって、SNSとかネットを使っておもしろい仕掛けを作れば、ムーブメントも起きるしビジネスになるっていう時代になった。

上の世代を論破する必要もないし、戦う必要もない。僕自身がここ2、3年で実感していることです。そういうことを、若い人に伝えたいとは思っています。

ギラギラした人たちを、強いメッセージでエネルギッシュにさせる

ーー「こっち側」に来れない人について、何か発信したいとは思いますか?みんながみんな、箕輪さんたちのように仕事に熱狂できる人じゃないのでは、とも思うんです。それこそ、仕事でうつになってしまうとか、産後うつになってしまう人とか、行動したくてもできないくらいに疲れて休息が必要な人もいると思うので…。

なるほどね。でも、大事だよ。

それは、単純に「役割の違い」のような気がします。全部やろうとするのは無理だから。

自分が一番やりたいことは何か、という話になるけれど、僕はやっぱり男子校マッチョ文化に属する人間だと思うんですよ。

見城徹さんとかホリエモンとか、落合陽一さんとかもそうだよね。「寝ないで死ぬほど働くぜ」、みたいな。前田裕二もそう。僕にとっては、その人たちの姿勢はすごく大事なことというか。

エネルギーがある若者とか、それこそ若者に限らず、好奇心旺盛で「世の中を変えたい」と思っているギラギラした人たちを、強いメッセージでよりエネルギッシュにさせる。それは、僕は意味があることだと思ってる。

それと同時に、僕が産後うつの人とか、そういった立場にいる人に対するメッセージを発信するよりはね。それこそハフポストがやった方がいいと思う。それが、「役割の違い」だと思います。

ーーなるほど。

SNSって、ふだん街で歩いている時は全く話す必要がない人と同じ部屋に押し込められて、無理やり会話をしなくちゃいけない、みたいな空間だからね。

普通に電車に乗っている時は、僕の読者みたいな「今日も死ぬほど働いて絶対1年後に起業してやるぜ」ってギラギラした人と、産後がつらくて仕方がない人が話すような機会ってないじゃないですか。それが日常ですよね。

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でもSNSだと、そいつのほとばしってるメッセージが一方的に目に入ってきてしまう。それでイライラしてしまうっていうのは、すごくわかるよ。「また箕輪が『死ぬこと以外かすり傷だぜ』とか言ってるよ」って、イライラするよね。すごくわかる。(笑)

そこで、「その価値観はちょっと無理」みたいなのが生まれるのは当然だと思う。働きたくても働けないとか、いろんな事情があるから考えてほしい、とか。それが優しい人の感覚だよね。

でも、僕がそこで「前回はホリエモンの『多動力』という本を出した。でもこんなに活発な人ばかりじゃないから、次はうつで苦しんでいる人に向けて何か本を出そう」とかやりだしたら、それはそれでね。なんか違うから…。(笑)

ーー確かに違いますし、それでいいものが生まれるとも限らないですね。

それは役割。いろんな人が正しいと思う世界を目指せばいい。

人間によってタイプも役割も違うし、世代によってやりたいことも違う。僕も人生のフェーズによって変わるかもしれないし。たまたま今の僕はここにいて、こういうメッセージを発信してるだけだと思います。

普通の本を出しても大きなムーブメントは起こせないから、コンテンツを作る時は反感を呼ぶくらいにある種どちらかに傾いている必要があると思ってる。

でも、一つ思うのは、意見や価値観が違ったとしても、全部話せばわかるんですよ。だいたいは。

わかりあう必要はないんだけど…。会った後に、一瞬でイメージって変わるじゃないですか。だから、考えや価値観が違う人の声を聞くことは、僕は嫌いじゃないです。

いま僕は新鮮ですよ。女性もモヤモヤしてたんだなっていうのに気づけて、すごく新鮮ですよ。

ーー新鮮なんですね。(笑)

妻に死ぬほど言われてることが、単なる嫌味で言われたんじゃなくて、本当にムカついて言われてたんだなってイコールになったよ。

本当に、「死ぬこと以外かすり傷」っていう言葉を聞いただけで、鳥肌が立つくらいムカつくって言われて…。

あとこの顔(ブックカバーの写真)、嘘の笑顔って。

家で妻が育児しているからこそできる笑顔ってね。もう毎日言われる。「本当に寒気がする、一番嫌いな本」って言われる。

そこがね…世間の風を唯一感じてることですね。

ーーその問題は解決しないと…。でも、箕輪さんは、決して「自分の言葉が正しい」ってみんなを染めようとはしていないわけですね。

それは本当にないですね。僕は宗教家になろうとしてるわけじゃないし、まやかしの言葉で思想を染めてやろうっていう意図はまったくない。

でも僕の言葉って、見城イズムなのか、やっぱりキャッチーだから、若者が染まりやすい。

だから、そこは逆に引き戻しますよね。例えば、「多動力が大事だ」とか言ってばっかりで、多動力の本当の意味を誤解してるような奴は、一番の僕のファンかもしれない。でもちゃんと目を覚まさせますよ。それは全然本質じゃないよ、って。

あと『ブランド人になれ』を読んで、Twitter のフォロワー数ばかり増やそうとしてるやつとか。これは、俺が生んでしまっている弊害だから…。(笑)

「Twitterのフォロワー数を増やす」とかは、本質じゃないよね。あくまでもそれは結果として付いてきたことで、気づいたらブランドができてるんだから。まずはこれだったら負けないということをやらなきゃだめだよ、とか、ちゃんと言うようにはしてる。

オンラインサロンにいる優秀な奴とかは、結構バランス感覚がよくて、僕のことを絶対視してないやつの方が多いですよ。

 ◇

「熱狂せよ」というメッセージは危険?

ーー「熱狂せよ」という箕輪さんの言葉は人をすごく鼓舞するけれど、熱狂は一瞬で冷めてしまうんじゃないか、その時にどうするのか、という危険性もあると思うんです。

「熱狂」は持続しないですよ。

持続したら、それはもう熱狂じゃない。見城徹さんみたいな人物もたまにいますけど、熱狂というのは非日常的だからこそ生まれるものであって。持続させるものだったら「熱狂」ではないですよね。

僕も箕輪編集室というオンラインサロンをやってるんですけど、サロンには2つの要素があって。熱狂的な部分と、コミュニティ的な部分があるんです。熱狂ばかりだと疲れてしまって衰退するんですよね。

これは佐渡島康平さんに教えてもらったんだけど、熱狂にはゴールがあるけれど、コミュニティは「居場所」だからゴールはない。

その2つの要素を一緒にすると、目的達成したら「解散」になってしまうんです。だから、箕輪編集室はコミュニティとしては「熱狂」しないようにしています。どういうことかと言うと、箕輪編集室全体での「明確な目的」をあえて作っていない。

例えば、「サロン会員数2000人を目指して全員頑張れ」となると、その瞬間にプロジェクト変わって2000人に到達した時、「やりきった」ってなっちゃうからね。

「何かしなければその場所に行っちゃいけない」みたいな空間だと、本当に息が切れちゃうし。参加している人にとっての「居場所」になるように、別に何もしない人もいていいんだよ、という設計になるようにしていますね。

ーーサロンは、「信者ビジネス」とか「やりがい搾取」とも言われますが…。

それはよく言われるんだけど、サロンに入らない人がそういうことを言うのはおかしいんじゃないかな、と思いますよね。

あと、「やりがい搾取」と言われても、箕輪編集室は参加者の方がむしろお金を払っているわけで…。要は習い事だから。だから、「こんなに働いたのに給料安い」とかは起こりえない。辞めればいいんだから。だから、モチベーションが低い人はどんどん辞めていく。

会社にとって毎月1割くらいが辞めていくのっておかしな話じゃん。でも、サロンは毎月1割辞めて新しい人が次々に入っていくのが回転してる。俺はそれでいいと思うんだよね。

ちょっと過剰だなと思ってノレない人は辞めていいし、本当に楽しくて居場所になってる人はいてもいい。

でもね、たぶんみんながこういう風になるなと思うのは、それが正しいかどうかは置いておいて、本当にコミュニティを持っててよかったなって思うことがめちゃくちゃあったからなんです。

今、僕が1000人以上のコミュニティを持っていることによってできていることばっかりで。何をやったとしても、まずはそれなりに売れるし仕掛けやすい。メンバーも何か武器を持っている人たちで、すぐ行動を移しやすい。

『死ぬこと以外かすり傷』は、地方に住んでるサロンメンバーが、書店員さんにガンガンプッシュしに行ってくれて、全国的にめちゃくちゃ売れたんだよね。

やっぱりちょっと狂ってるからさぁ、異常なのね、営業活動が。僕の等身大パネルを置いたりとかさぁ…。(笑)

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こういう風に多様な人が一つの近しい価値観を元に集結して、勃発的に熱狂的なプロジェクトが生まれるみたいな。それがオンラインコミュニティですよね。

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「信者ビジネス」と言われるのが今のフェーズだとすると、いずれこのかたちが会社と溶け合っていくと思います。サロンは好きなことをやる場所になって、そこで培った能力やらブランドを使って外貨を稼いでくる。これが主流になってくるような気がします。

 ◇

冷めて作っていたら、読者は気づく

ーー箕輪さんが今後やりたいことは?

本を発行するペースは少し落とすと思います。もうNewsPicks的なことは言ったというか…僕の本で今まで言っていることは網羅したし、もう充分みんな刺激は受けただろう、って思う。

年に数冊は出すと思いますけど、同じことを生産し続けると僕自身の魅力も落ちるから。

今まで10使ってた力を3くらいにして、7はやる気のある若者を集めてシェアハウスをやってもらうとか、動画の会社作るとか、新しいことをやろうと思っています。それこそ新しい出版社じゃないけど、本を含めたいろんなモノを、ストーリーと自分の言葉を使って、流通までやった上で売る、とかね。

こういうノリも僕自身も、恐ろしい勢いで飽きられると思うんだよね。こういうノリなら人に刺さるなってわかっちゃったので。

自分の本が一瞬でAmazonランキングの1位になって、5万部突破した時点で、何かもう僕の中で冷めたね。

これと同じことをやっても…また「当たる」と確信を持った状態でやるのは、もうつまらないなって。一定期間は楽に当てることはできると思うけど、読者は半年くらいのスパンをかけて気づくんだと思う。こっちが冷めて作ってる、コンテンツが怠慢になってることに。

だから、僕自身が当たるかわからない、不安になると思うことに挑戦しないと、同じくらいおもしろいムーブメントは作れないと思います。そんな感じです。今までのこととは線を引くって感じです。

・・・今のすごいNewsPicksっぽい、マッチョっぽかったでしょ?(笑)こういうの嫌でしょ?(笑)

「変化しつづけなければ」みたいな…。

ーー嫌じゃないです。(笑)でも編集者としての仕事はずっと続けていかれるんですよね。

うん。編集者っていう仕事をもっと広義にしていく、ということですね。

ーー楽しみです。刺激を受けましたし、箕輪さんについていきたくなる気持ちがすごくわかりました。ありがとうございました!!

Source: ハフィントンポスト