小学生が実際に “原宿の街”を動かしていた!  夏休み5日間をかけたワークショップのその後

小学生が “原宿” を舞台に行う、壮大なワークショップ[Social Kids Action Project(以下SKAP)] が、今年の夏も行われました。SKAPとは子ども達が実際に原宿を歩いて取材し、街の問題点を見つけ「自分はこう変えたい!」と渋谷区長をはじめ多くの大人達へ提案するプロジェクトです。(第一回目の様子はコチラ! 「小学生が”原宿の街”を変えたい!と区長に提言、全5日間の壮大なワークショップ密着ルポ」)

ただ、「提案」するだけで終わらないのがSKAPのすごいところ。実際に大人や企業、行政を巻き込んで動きだし、実現させるところまでを最終目的としているのです。昨年5日間密着していた私としては、それぞれの提案がどこまで実際に動いて、どこまで実現したのか。この1年間の動きが非常に気になっていたので、今年の発表会に参加してきました。

SKAPってどんなワークショップ?

まずSKAPについて改めて説明いたします。

渋谷区内の小学4〜6年生12名が主役となり、地域の大人と話をすることで街の問題を見つけ、自分なりに考えた解決策を提案するプロジェクトです。5日間でそれぞれがアイデアを固め、最終発表会で渋谷区に「どうしたらより良い街になるか」をプレゼンします。これらの活動は民間・行政・地域の大人たちがつながりあって、子どもたちを全力でサポートしています。工程は次のように進められます。

1日目:「渋谷を使う人はどんな人?」「どんな街だったら嬉しい?」

それぞれがアイデア出し。その後はゲストスピーチで【原宿表参道欅会】の松井理事長と【表参道ヒルズ】の橋本様のお話。午後は街に出て、当事者目線で街を歩く。

2日目:「原宿に住んでいる人はどんな街にしたい?」

消防団、警察署、東京メトロ、歯医者、居酒屋、ウィッグ店…… などに出向いて、実際原宿に住んでいる人たちにインタビュー。午後は取材してきた内容を元にアイデア出しをして各自発表。

3日目:「原宿を訪れる人はどんな人?」

アパレルに美容院、観光案内所、ラフォーレ原宿、雑貨屋…… などを取材し、原宿を訪れる人の声をヒアリング。午後は今日の取材を元にアイデア出しをして各自発表。

4日目:「みんなはどうしたい? どんな街にしたい?」

これまでの振り返りと、街ゆく人へ突撃インタビュー。グループに別れてどんなビジョンを立てるか議論の後、最後は各自アイデアを考える。発表の後、更にブラッシュアップ。

5日目:資料作り&発表会

午後の発表会に向けての資料作りとプレゼン練習。「誰に何をお願いするのか」「実現に向けて自分はどう動くのか」まで内容を詰める。そして渋谷区長はじめ、行政、企業、地域の人々、保護者、マスコミ各社…… など総勢80人の大人を前にプレゼン大会!

全て自分たちで見て、聞いて、考えて、発表する。しかも初めてのお友達とグループになり、初めての大人たちと話をして、問題解決へのアイデアを導き出すのですから、通常の学校の活動ではなかなか経験できないですよね。こんな充足した5日間過ごせて、しかも全て無料だなんて! 自由研究にもそのまま対応できますし、親にもありがたいプログラムです。今年は2回目の開催でしたが、あっという間に定員12名の枠が埋まってしまったそうです。

提案して終わりじゃない! 1年間で6件の活動報告が寄せられていた……!

昨年春に行われたトライアルと、夏の第1回開催の後、原宿の街を動かす6件の活動報告が寄せられていました。どこまで実現したのでしょうか?

提案1:「渋谷をかえる1本の木」

キャットストリートにりんごの木を植えて、アップルストリートにしたい。まずは、この提案内容を書いたチラシをアースデーに代々木公園で配ったそうです。するとパタゴニアさんが反応してくれ、キャットストリート沿いにあるお店が参加している”キャッツコミュニティ”に繋いでくれ、清掃活動後に参加メンバーに対して協力を求めたそうです。渋谷区にも相談したところ「実のなる木を植えることはできない」との回答があったものの、一から子どもの力で企業や大人を巻き込めたことが素晴らしいですね。

提案2:「テロ対策のゴミ箱」

提案自体を実現させたというわけではないですが、伊勢で行われた『第1回世界子どもサミット』のキッズスピーカーとして登壇し、SKAPでの体験を紹介したそうです。「大人が子どもを信じて寄り添って聞いてくれるからこそ、子どものアイデアが生かされる」「大人とこどもが協力すれば素晴らしい社会になる」とスピーチしていました。

提案3:「らくがきデパート」

原宿の落書きに注目し「あえて落書きして良い場所を作ろう!」という提案をした女の子は、町会の方と落書きを消して回る活動に参加しました。「みんな一生懸命消すのだけど、書かれるために消しているようなもの。いたちごっこでした。どうせならアートの様な美しい落書きをしてほしい。あと、たくさんの人が落書き消しに参加してほしいし、落書きする人も減って欲しい」と感想を述べていましたよ。彼女は今年も参加していて、2年連続落書きという課題についてアイデアを出していました。

提案4:「交流しようよ! イベントで」

「四季に応じてイベントを開催して年代を超えた交流をしたい」と提案した女の子は、早速秋に落ち葉拾いを企画。原宿表参道欅会さんと打ち合わせをして内容を決め、原宿で清掃活動をしているグリーンバードを紹介してもらったそうです。当日はグループごとに集めた落ち葉の量を競い合い、108袋集めたとか。また前回の発表会で「表参道の落ち葉はブランド堆肥になる!」との意見があったので、その声をきっかけに堆肥にする活動も始めているとか。そこまで実現させるとは……!

提案5:「きみも農家になれる! しんせん野菜タワー」

昨年は「スーパーがない、手頃な飲食店がない!という声に対して、畑を作りたいとの提案が多数ありました。そこで東急不動産さんが東急プラザの6階「おもはらの森」に、畑を実現しました。子供たちの畑を作りたいという想いを、アーバンファーマーズさんの取り組みを応援することで実現できると担当の方が尽力してくださったとのこと。そして、アーバンファーマーズさんが近隣の保育園の園児たちと一緒に種植え〜間引き、収穫もしているそう。なかなかこの辺りの保育園では、畑体験などはできないなので、とても良い相乗効果が起こりましたね。

提案6:「ファッションでイベントをしよう」

「カラフルな衣装を着て四季に応じたイベントをしたい」と堤案したところ、ラフォーレ原宿の荒川社長が「ぜひやりましょう!」と言ってその場で名刺を渡してくれたました。翌日に電話をし、打ち合わせをすることに。やりたいことを伝えながら打ち合わせをしていると、清掃活動をしている”クリーンキーパーズ”のビブスをデザインすることに。デザインプロセスを学びながら5〜6回も打ち合わせを重ねたそうです。「何度もダメ出しをされながらも、自分でデザインをしたら楽しかった。『好きなものを好きなように作るのはデザイナーじゃない』と教えてもらったのが印象的でした。」彼女は今回のSKAPの緑の帽子もデザインし、Tシャツも作ったそうです。自分の思いが実際に形になるなんて、素晴らしい経験値になるでしょう。

6件も実際に一歩を踏み出していたなんて! このプログラムを作った植野真由子さんも大人たちへお願いとして「親御さんたちへ、一歩踏み出すのが大変なので、声かけをして相談に乗ってあげてください。あと、企業の皆様、子どもたちの意見を前向きにご協力お願いします!」と最後に締めくくっていました。子どもたちが真剣に取り組んで考えてきたことなので、大人たちも触発されて真剣にサポートする関係が本当に他にないな、と思います。

今年はどんなアイデアが?

今年の参加者は女子9名、男子2名の計11名でした。実際に出たアイデアを少しご紹介しましょう。子どもたちの案に対する企業や行政の方々の意見もすぐにレスポンスされますので、その声も拾ってみました。

「どんな年代の人にも楽しんでもらえる街」

月に1度テーマの変わるお店を竹下通り沿いに作って、いろんな年代の人に楽しんでもらえるワークショップを企画したい。

◆大人の反応 「現在開発中のビルの中でコワーキングスペースを計画中で、イベントの際に是非お願いしたいです!」(NTT都市開発)

「原宿自由革命」

自由とは他人を害しないことなのに、原宿には落書きやポイ捨てが沢山あるので、クールでカッコいいポスターを作って呼びかけたい。また「自由カフェ」を作って、そこでは近所の人たちと話す日にしたい。

◆大人の反応 「まずコンセプトがすごくかっこいい! ポスターのデザインができたらぜひ持ってきてください」(東京メトロ)

「なんでもカラフル」

電柱や壁、道路やカフェなどをカラフルにすると観光客の人たちが喜ぶしハッピーな気分になれる。6%ドキドキに手伝ってもらってデザインを考え、ペンキで塗る。

◆大人の反応 「落書きで有名だった場所が『FOREVERの壁』になりすごく良くなりましたよね。これも同じで、子どもが考えたことでドキッとすることを、大人が真剣に考えればもっと良くなると思いますよ」(長谷部区長)

「最新 歩車分離・歩行者天国」

人が多くて歩きにくいという意見が多かったので、今ある表参道を歩行者天国にし、上に車道を新設する。さらにプロジェクションマッピングで彩って、さらにキレイな都会にしたい。

◆大人の反応 「私も以前から同じ様なアイデアを持っていました。すごく可能性があって面白いと思います」(欅会の松井理事)

子どもたちからは提案の最後に「東急不動産さんご協力お願いします!」「渋谷区長さん、応援お願いします!」など、協力してほしい方々に直接お願いできるのも良いところ。名指しでオファーを受けた担当者からは、すぐに意見が聞けますので、その声が自信にもなりますし、実現に向けて励みにも繋がるでしょう。

親から見て、実際に参加した子どもたちはどうだった?

今回参加した子どもたちの親御さんの感想を聞いてみました。

『引っ込み思案な性格だったので、最初は無理に参加させました。1日目は「辛い……」と言っていましたが、3日目ぐらいから楽しくなってきたようです。彼にとってこの経験が自信に繋がればいいなと。』(4年生男子の母)

『応募した動機は夏休みに5日間も預かってくれるなんて! と不純でした(苦笑)。子どもの意見をうまく引き出してくれて、実現していく素晴らしい企画で、家庭ではなかなかできないことだと思います。とても有意義で素晴らしい体験をさせてもらいました。』(4年生女子の母)

『2年連続で参加しました。親子共にどういう活動か理解し、1年間の準備期間を経て今年は参戦しました。この1年間、常にSKAPのことが頭の片隅にあった様です。あと今までぼんやりとした社会全体が、少しずつ具体的に見えてきた様です。とにかく5日間楽しそうに通っていました。』(5年生女子の母)

色々な思いから応募されている様ですね。5日間かけて真剣に取り組む、この夏休みならでは感もいい。私も小学生の子どもを持つ母として、ぜひ体験させたいプログラムなのですが、今はまだ渋谷区限定ということです…… 今後の広がりに期待です!

昨年は第一回開催だったので、全貌は見えていませんでしたが「SKAPは本気で実現させていく」これが立証されましたね。子どもの本気に大人もどこまで本気でフォローできるか、この大人側の寄り添う意識がとても試されていると思います。ちなみに今回の参加者を対象に『20年後の道の使い方について』渋谷区から新たにアイデア出しを依頼されたそうですよ! また違った形でプログラムが拡大していきますね。この様に草の根的に毎年実例を少しずつ増やしていくと、気がつけば本当に小学生が街を動かしている、という時代が来るかもしれません。

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ライター 飯田 りえ
関西の女性誌編集部&MOOK編集部に勤務。とにかく自分で見て、歩いて、聞いて、食べて…… リージョナル誌編集者として7年過ごす。その後、結婚を機に上京しフリーに。雑誌、WEBを中心に幅広く執筆中。6歳3歳の男子に振り回されながらも「成長を見届けながらしっかり育児を楽しみたい!」と日々アクティブに活動中。

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Source: ハフィントンポスト