シンプルな食事でOK! 好き嫌いもOK!  目からウロコの「食×発達心理学」

子どもが成長する上で要となる「食」。

生活に欠かせないものとしてその重要度は理解できるものの、偏食や少食、また食事に集中しないなど、子どもの「食」に悩んでいるパパママは多いですよね。

そんな疑問を、こどもの発達心理にあわせたこども成育インストラクター<食専科>養成講座を開く「日本こども成育協会」にお伺いしました。本講座を受講し、認定を受けたインストラクターは保育園・幼稚園の食を担ったり、自分自身で講座を開講したりと活躍しています。

発達心理学という見地から食を捉えるってどういうこと? 一体どのようなメリットが?

今日からできることはあるの? と様々な疑問を胸に、食専科ディレクターの隅弘子さんにお話を伺いました。

食と発達心理学をクロスして伝えられる

「こども成育インストラクター」を養成中

編集部:「食×発達心理学」という考えが初耳なのですが、隅さんも受講されたというこども成育インストラクター<食専科>養成講座というのは一体どのような内容なんですか?

隅弘子さん(以下、敬称略。隅):講座に関してはみっちり専門知識を学んでいきます

最初は発達心理学、子どもが成長に合わせてどんなことを理解していくのか、ということを徹底的に学びます。

一番の肝はこども・おとな・食べ物の”三項関係”を理解することですね。

子どもはお母さんの真似をして、お母さんが見ているものに注目します。

お母さんが好きなものを私も真似したい! 食べてみたい! と日々感じたことが「できた!」を生み、楽しく学ぶ力が身についていくことを学びます。

ほかにも、こども心理発達と食行動、口腔医学、健康食育、母子保健学などを学び、プレゼンやロールプレイング、最後には試験や実技など、約3ヶ月かけて学んでいきます。

シンプルでいいから、続けられるものを。

1日3食”食べる”さえクリアしていればOK

編集部:日々の食事で困りごとを抱えているお母さんも多いですよね。

子どもの食で悩んでいるお母さんに、まず一声かけるとしたら隅さんは何て言いますか?

隅:とにかく”食べる”。それだけでいいと思います。

子どもに食べさせることの何がハードルかは人それぞれですが「三度のメシ」というように1日3食、食べるリズムが整い、食事ができていれば、「頑張っていますね!」ってお母さんを労ってあげたいです。

最初から「栄養だ」「バランスだ」となると脱落してしまうし、私自身、料理もレシピを考えるのも実は苦手なので、レシピもしょっちゅう検索しているくらいです。

「食」に関する仕事にしていますというと「忙しくても毎食バランスのいい献立を作っているんでしょ?」って思われるけど、そんなわけありません(笑)

その代わり、どのように実践するかというと、シンプルでいいから食べる習慣がつきやすいものをどれだけ食べさせるかなんです。

だったらごはんとお味噌汁のシンプルな組み合わせだけでも整えてほしいです。子どもだって「いつものママのごはんだ」と思いながら安心して食べられたらそれでいいと思います。

日々のレシピ検索や何品も頑張って作って悪戦苦闘していた時間が浮きますよね。浮いた時間で読み聞かせするとか、たとえ10分でも子どもとおもちゃで遊ぶ時間ができたなら親子関係は良好だと思いますよ。

講座を受講することで「いろんな献立が作れるようになりました!」って人たちを作り出したいわけではないし、「これでいいんだって安心しました」って言ってくれる人がいるのが嬉しいですね。

講座の中では、受講者の皆さんにも3週間くらい、毎食ごはんとお味噌汁という献立を実践してもらうんですが、自分の体をもって変化することを実感すれば、自分から相手にも伝えやすくなりますしね。

好き嫌いが出るということは発達の証。

「おめでとう」って喜んであげて

編集部:作って食べることだけじゃなくて、その前後で遊んだりすることもすべて食の教育に繋がっている、ということでしょうか。

隅:離乳食が3回食になると「私、一日中台所にいるような気がする……」とふさぎ込み、やる気が失せちゃう人もいますよね。

頑張って作ったのに食べてくれないと「私の料理が下手なせいかな?」と根を詰めてしまうこともあるかもしれません。

だけど、子どもが1日にたとえば野菜スティック1本しか食べなかったのだとしたら、それ以外にイヤなことがあったのかもしれない。お母さんが食事の準備に必死すぎて子どもの相手ができず、寂しかったのかもしれない。背景は色々あると思うんです。

お母さんとしては頑張って料理したかもしれないけど、子どもがキャッチするのは食べ物の味そのものよりも「お母さんの表情」だったり「声かけ」だったりするんですよね。

食事の好き嫌いだって、成長の証だし、角度を変えれば見え方が変わることを伝えていきたいです。

編集部:えっ…… ということは、「好き嫌いせずに食べましょう」とは言ってないってことですか?

隅:「おっ、(好き嫌いを伝えたいサイン)出たねー」くらいのものですよ!

こどもは生まれつきエネルギーが高いものを積極的に取るようにインプットされています。だから甘いものが好きだし、酸っぱいものは腐敗、苦いものは毒物だと察知するから嫌い。

母乳やミルクしか飲んでいない赤ちゃんの頃から歯が生えて、舌の動きが活発になることで味覚がさらに発達します。お口の中で味わう時間が増えることによって今まで以上に、甘いとおいしいと感じ、酸っぱいものや苦いものは口から出してしまうんですよね。「好き嫌い」が今まで以上に出るようになるってことは口の中の環境がそこまで発達したということですから「出たねー! おめでとう!」って言ってもいいくらいだと思います。

子どもの発達の過程が分かれば、

食に対する見方が変わって楽になる

編集部:子どもの好き嫌いが多いのはお母さんの料理が下手だからって悩んでいる人も多いと思います。これは知っておきたいですね。

隅:お母さんの料理のせいじゃなくて、食べにくいと感じていたり、味が苦手だったりする食材が多いだけ。

それを「どうして食べないの!」って怒っちゃうと「もう絶対口に入れない」と「嫌い」がさらに加速してしまうだけです。

成長の過程で「お友達が食べているあの食べ物が食べてみたい」って食わず嫌いの門が開くこともあるし、好き嫌いは都度変わっていきますよね。だから食べられなくても「あっ、そう」くらいでいいんですよ。

それを知っていたら好き嫌いがある、という事実は変わらなくても、「自分の作ったものがいけなかったの?」じゃなくて「どの食材の味がダメだったのかな」って受け取り方が変わりますよね。

理由が分かっていれば対処の方法も分かるし、落ち込んでも深みにハマりすぎず、すぐに切り替えることができると思います。

最初にも話した「三項関係」で何を食べているか、ではなく何をコミュニケーションしているかを重視した「食卓での親子のあり方」を伝えていきたいなと思っています。

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自分自身が「好き嫌いしないように」と育てられてきたせいで、子どもにも好き嫌いを作ってはいけない、と必死になっているお母さんも多いのではないでしょうか。

隅さんが話してくれたのは「知っておけば気持ちが楽になる」ことだらけで、とても納得感がありました。

「3食食べさせていればOK」と思えば、日々の食事も少し楽になりそうですね。

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ライター 真貝 友香
フリーライター

1980年生まれ

携帯電話向け音楽配信事業会社にてSE、マーケティング職を経た後、妊娠・出産を機にライター業を開始。 子育て関連の記事や女性向けインタビューを中心に活動中。好きな物は映画・お酒・化粧品。保活、男性の育児参加、ワークライフバランスなど女性がより楽になるために何が必要か考えながら日々執筆しています。

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Source: ハフィントンポスト