フィンランドが享受する「ベリー摘み放題」。それでタイ人が苦しめられているという現実を知った

8月7日。フィンランドにきて、3日目になる。

高緯度にあるこの国は、日が長い。夜の9時頃になってようやく空が暗くなっていくことに、少しずつ体も慣れてきた。

見学や講演などのスケジュールが朝から晩までびっしり組まれた「若手ジャーナリストプログラム」で、合間のおやつの時間は、ほっと息がつける貴重な瞬間だ。

そして、おやつに必ずと言っていいほど、配られる食べ物がある。

ベリーだ。

おやつに配られたベリー

ストロベリー(いちご)、ブルーベリー、ラズベリー、リンゴンベリー(コケモモ)、アカフサスグリ、など。この国には、日本ではなかなか見かけない品種も含めて、豊富にある。

ベリーは夏の果物。ちょうど今日、ヘルシンキ大学の植物園を訪問した際、おやつに出たのが皿に山盛りのイチゴ、ラズベリー、アカフサスグリだった。おまけに、ブルーベリージュースまで配られた。

フィンランド外務省の広報担当者によると、この国に自生しているベリーは、なんと摘み放題なのだという。国立公園の中でも、個人所有の土地であっても、摘み放題が許されている。

フィンランド人はベリーを愛してやまない。

多くの人たちは、夏は湖畔に近い夏小屋で休暇を過ごし、その間、森でベリーを摘むことを習慣にしていると、植物園でベリーをつまみながら、案内役の人から聞いた。

森に行く時間がない忙しい観光客でも、港のマーケットに行けば、新鮮なベリーが(どのくらいの価格?分かれば)山積みで売られているのを見た。

しかし、この「ベリー摘み放題」という、一見「平等」な習慣のせいで、最近はタイ人の労働者が苦しめられているというという話も耳にした。

ベリーが無料で摘めることをいいことに、転売で高い利益を見込んだ業者が、安い労働力としてタイ人の労働者をフィンランドに呼び込んでいるというのだ。実際は、極めて低い賃金で搾取されているというのだ。

タイの公共放送局「PBS」記事によると、7-9月がベリー摘みの仕事の時期だが、観光ビザで入国するため、社会保障や法律で守られていない中で働く上に、斡旋業者への高い手数料や現地での滞在コストなど、日本円にして計55万円がかかるという。

時には朝の4時から夕方まで働かされ、休みもとれないという。休みをとった場合は、給料が支払われないこともあるという。

フィンランドのタイ領事館が、フィンランドに出稼ぎにこようとしているタイ人に、次のような警告を出しているという。

  • 提示された給料を支払われる可能性が低いこと
  • 労働環境があまりにもひどいこと

ーーなどを伝え、質の悪い出稼ぎ斡旋ビジネスにひっかからないよう呼びかけている。

フィンランド人にとって「平等」を象徴しているともいえる、ベリー摘み放題。自国の人たちは、これで多くの「幸せ」を享受している。その「平等」「幸せ」が、地球の反対側で「搾取」につながっているーー。複雑な気分になった。

フィンランドは、建国100年という短い歴史の中で、「自由」と「平等」を勝ち取ってきた。しかし、そうした権利がどこよりも早く実現できたのは、この国の人口が550万人という規模だったからなのだろう。ベリー摘み放題も、その規模だから実現できた、といえないだろうか。

この国の移民がさらに増え、グローバル化で他国への影響がより強まるようになるだろう将来、この国の「自由」と「平等」はいつまで担保されるのだろうか。

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2018年8月、フィンランド外務省が主催する「若手ジャーナリストプログラム」に選ばれ、16カ国から集まった若い記者たちと約3週間、この国を知るプログラムに参加します。

2018年、世界一「幸せ」な国として選ばれたこの場所で、人々はどんな景色を見ているのか。出会った人々、思わず驚いてしまった習慣、ふっと笑えるようなエピソードなどをブログや記事で、紹介します。

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Source: ハフィントンポスト