「ココがポイント」のポイントは?――ニュースを分かりやすく「紐解く」ヒントを探る

社会を揺るがす大きな問題や、事件などが発生すると、毎日のようにさまざまなメディアからそのニュースが伝えられることになります。

一方で、毎日伝えられているニュースでも「実はよく分かってない」「要するにどういうことなんだろう?」と思うことはないでしょうか。

Yahoo!ニュース トピックスの編集は、1日に配信される約450媒体、4000本の記事から選択し、13文字の見出しをつけてYahoo!ニュース トピックスを作成しています。実は、それだけでなく「ココがポイント」というパートも編集の仕事。ネットならではの伝え方で、ニュースをより深く理解するための情報を選び出して掲載しています。

Yahoo!ニュース トピックスの「ココがポイント」が現在の形にたどり着いた経緯とは? 検索から発見したユーザーのニーズとは。不確定情報が多いインターネットでより確度の高い情報を伝える可能性について探りました。

Yahoo!ニュース トピックスの「ココがポイント」の一例。記事の選択や文中からの抜粋は編集が行っている

ユーザーとニュース、検索の関係とは?

昨年5月から今年4月までで、Yahoo!ニュース トピックスの13文字見出しでよく掲載され、かつ検索もよくされた「鉄板ワード」を調べてみました。

書類送検、排他的経済水域、執行猶予、懲戒処分

特に刑事事件にまつわる、専門的な法律用語が多くみられました。どの言葉もニュースでよく耳にする言葉ですが、その言葉の意味や「そもそも」を知りたいというユーザーは数多くいるということを表しています。

ユーザーのこうした検索動向について、検索データを活用したコンテンツ編成などを担うチームの編集者はこう分析します。「ニュースがきっかけで、検索につながることは確かです。記事を読んでいて気になったワード、分からないワードを調べるので、法律用語などはよく調べられるのではないでしょうか」。

また、今年1月1日~6月30日までの上半期に検索された「〇〇とは」。

最も検索されたのは森友学園を巡る問題で流行語大賞にも選ばれた「忖度とは」、次に「仮想通貨とは」という言葉でした。ほかにも、ビットコインとは、裁量労働制とは、働き方改革とは、なども多く検索されていました。

こちらのグラフは「忖度とは」が検索された多さを示すグラフと、森友学園を巡るYahoo!ニュース トピックスの作成本数のグラフ。報道の盛り上がりと検索の波がほぼ一致しています。忖度が最も多く検索された日は、3月13日。Yahoo!ニュース トピックスでは「財務省 地検に改ざん文書提出」を掲出した日でした。

「そのとき盛り上がっているニュースで、分からない言葉があると検索したくなるという傾向はあると思います。ただ、1つのニュースに対してユーザーが求める『知りたい』という意図は十人十色。背景を深掘りしたいユーザーもいれば、言葉の意味だけ知りたいユーザーもいます」(前述の編集者)

多くのユーザーが同じキーワードを検索しても、そのニーズはさまざま。一方で、定期的に行っているユーザーへの調査では、ニュースに分かりやすさを求めていることも分かっています。その分かりやすさについて分解して聞いてみると「効率的に要点がつかめる」という声が多くありました。

30文字のテキストでしか表現できなかった旧「ココがポイント」

こうした声にこたえるため、これまで30文字以内のテキストでしか表現できなかった「ココがポイント」は表現を増やすことで、大きく変わりました。グラフや地図をエンベッドして見せたり、Q&A方式でキーワードの意味やポイントを伝えたり、意識調査もグラフ化して見せたり。表現を広げることで、直感的に効率よく、ニュースを「ひも解く」手がかりになるよう心がけています。

大事なのは”主役にならない”

とはいえ、「ココがポイント」はあくまでも、主役の記事をアシストする役割。Yahoo!ニュース トピックスの13文字の見出しをタップしたユーザーが、このパートで満足し、一番読んでほしい記事を読まないままでは意味がない。あくまでもサマリーではなくそのニュース全体を理解してもらう編集を目指しています。

編集が、作成の際に注意しているのは、基本情報、背景、別の視点の3つ。連日報道されているものでも、用語の解説や事象の発端などの「そもそも」の説明は手薄になりがちなので意識しています。また、これまでの経緯や論点整理もより深く理解する上で欠かせません。別の視点についても、専門家だけでなく意識調査を見せて多角的な議論を喚起したいと考えています。

「ココがポイント」で埋め込んだW杯ベルギー戦後の意識調査「サッカー日本代表のW杯ベスト16をどう評価する?」。Yahoo!ニュース トピックスの記事を読みながら、ユーザーの評価も知ることができます。

W杯ロシア大会、Yahoo!ニュースはどう読まれた?データから読み解く熱狂のうねりより抜粋

一方で、ネットの情報にはWELQ問題しかり、不確定なものも多くあります。主役となる記事を理解する上で、フェイクニュースや間違った情報を与えてしまっては逆効果です。Yahoo!ニュースのユーザーが安心して読めるよう、「ココがポイント」は、報道機関などが直接取材した記事や行政などが発表した一次情報、専門家の解説などから掲載し、違法な転載の有無や情報に確実なソースがあるかなどをチェックして、万全の注意を払っています。

見せることに課題もあった

2010年のYahoo!ニュース トピックスの一例です。

当時のYahoo!ニュースのユーザーは、ほとんどがPCユーザー。関連するニュースなどを多く掲載し、リンク集の要素が強いものでした。当時からこのパートは編集が作成しており、HTMLコードを入力していました。

ここから約8年、Yahoo!ニュース トピックスも、スマホユーザーを前提にしたつくりに変化しています。これまで、テキスト30文字前後という制約のなかでしかユーザーのニーズに答えられず、分かりやすいグラフもテキストリンクで「【図解】〇〇」としかできなかった編集のジレンマも解消されました。新しく取り入れたQ&Aも、テキストの文字数を増やす一方で、「ココがポイント」の枠の中で、かつスマホでパッとみて分かる文字数の上限はどこなのか議論しながら、最大60文字と決めています。

旧「ココがポイント」は、Yahoo!ニュース アプリでは遷移しないと見られなかった

また、Yahoo!ニュース アプリには、「ココがポイント」そのものをどう見せるかという課題もありました。ユーザーの中には、トップページの見出し8本だけを見て、個々のYahoo!ニュース トピックスをタップせずに離れてしまうユーザーも一定数います。Yahoo!ニュース トピックスの13文字見出しをタップして記事を読もうとしているユーザーに対して、旧「ココがポイント」はさらに遷移しないと見られず、たどり着けないユーザーもいました。分かりやすい情報を集めても、あまり見られていなかったという課題があり、リニューアルのきっかけにもなっています。

新聞社の「とはもの」がニーズとマッチした

新卒でヤフーに入社したYahoo!ニュース トピックス編集部の鈴木悠史は、報道経験がなく、入社した当初は記事を読み進めるのにも苦労した経験が「ココがポイント」作成のヒントになっていると言います。

「新人のときは記事をしっかり読もうとすればするほど、一つひとつぶつかった言葉を調べることを繰り返し、かなり時間がかかりました。例えば、芸能人が不起訴処分の起訴猶予となったとき、『起訴猶予』という言葉がリアルタイム検索でかなり調べられていた。起訴猶予を解説するコンテンツがもとめられているな…と思いました」

鈴木は、配信された記事の分かりやすさを最大限生かすため、「ココがポイント」を意識した配信もお願いする媒体社とのやりとりにも参加しています。

「ある新聞社では、『とはもの』はネットではあまり使い勝手がよくないと思われていたようで、ニーズがあることに驚かれたこともありました。ユーザーは必ずしもニュースに詳しい人ばかりではないです。記事を読む際に基本の言葉が分からないから調べる、という繰り返しをYahoo!ニュース トピックスではなくしたい。配信記事には、その問題を分かりやすくまとめた、ユーザーのニーズに応えるコンテンツが多くありました。新しい『ココがポイント』では、それらを生かす仕組みづくりをしていきます」(鈴木)

(画像:アフロ)

通勤中にスマホでニュースを見るというユーザーも多く、集中できない環境でニュースを見ることが多くなっています。そうした中で、ユーザーが理解にかける労力を減らして、ユーザーがもっと知りたくなる、確実な情報できちんと理解できるよう分かりやすく伝える。Yahoo!ニュース トピックスではどう表現するか、考えていきます。

Source: ハフィントンポスト