ジミー大西を励ました明石家さんまの言葉とは? 「この世に笑えないことはたくさんある。それを笑えたら全部勝ち」

ジミー大西さん

お笑い芸人の明石家さんまが初めて企画・プロデュースを手がけたドラマ『Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜』が、7月20日にNetflixで全世界独占配信された。

同作は、お茶の間の顔でもあるさんまが初の「ネット進出」を果たした注目作だ。題材はさんまが見いだした奇才、「ジミー大西」。1980年代の大阪を舞台に、ジミーとの出会いや交流、2人を支える個性豊かな仲間たちとの人情劇を描く。

いつもテレビで「笑い」を提供しているさんまだが、このドラマには「涙」もある。

失敗ばかりの自分を卑下するジミーを勇気づけるさんまの姿や、人生の師匠を真っ直ぐに慕い、不器用でも何事も一生懸命に取り組むジミーのひたむきさは、見ていると思わず泣けてしまうほどだ。

「当時の自分は生きていくのに必死やったんですよ」。そう振り返るジミーに、自身を描いたドラマの感想を聞いた。

ジミーは、やっぱり女の人が好き。

ーーテレビでは語られない、さんまさんとジミーさんの絆が描かれていました。ドラマのエピソードは実話なんですよね。

はい、実話ですね。映像にできないような話を逆に減らしているくらい…。

その当時は『なんてことやってもうたんやろ』とかテンパってましたけど、ドラマを見てさんまさんの愛情が改めて身に沁みましたね。

ーー中尾明慶さんがジミーさんを演じられました。自分がどういう風に描かれるか、気になりませんでしたか?

いや、全然気にならなかったです。中尾明慶さんの舞台とかを観に行ったりもしたんですけど、雰囲気とか、なんとなく自分に似ているなと。

途中、『ジミーはこういう人物だったんかぁ』って、自分でジミーという人物を改めて認識したというか…。やっぱ女の人好きなんやなって。(笑)

ーー(笑)。女の人なんですね。確かに炸裂してました。

炸裂してたなぁ。ドラマでは(そういう描写は)だいぶ減らされてたけど、女の人を生きがいにして今でも生きてんやろなって自分でも思いますねぇ。女の人と接するために頑張って働いたり。もちろん奥さんいてますけども…。

なんか不倫とかが問題になってるのも、ようわからんのですよ。何がいけないのかって言って、よう叩かれましたけど。よくわかんないので、バナナに例えて教えてもらう。「人のバナナとったら怒られるでしょ」って、バナナに例えてみんな教えてくれるんです。

ーーバナナ…。それで、「なるほど」って納得できるんですね。

「ああそっかぁ、人のバナナとったらそらあかんよな」って…。

ーー(笑)。さんまさんはそういうことも教えてくれる存在でもあったんでしょうか。

そうですね、節目節目にいろいろ教えてもらって。人に対して横柄な態度を取ったらあかん、とか。人生において大事なこととかを教えてもらいました。

明石家さんま(2008年撮影)

「この世に笑えないことはたくさんあるが、それを笑えたら全部勝ちになる」

ジミーにとって、さんまは「育ての親」のような存在という。時に”暴走”してしまうジミーをさんまは決して見捨てず、厳しさと優しさを持ちながら、ジミーの生きる道を導いていく。

1話目にそれを象徴するようなシーンがある。ジミーは初めて吉本新喜劇に出演した際、生中継があるにも関わらず、放送禁止用語を口にしてしまう。ジミーは舞台をぶち壊してしまったと思って落ち込み、さんまに謝り、「子どもの頃からアホそのものやったんです」と自分を卑下する。

ジミーは、周りの人との意思疎通などがうまく図れず、いじめを受けてきた過去を話すが、さんまは「お前めっちゃ笑えんで。身の上話も極上やないか」と笑い飛ばすのだ。そして、「お前のその本能におうたら、誰も勝たれへん」「今までの自分、笑い飛ばしてみ。そしたらな、お前のこといじめてきた奴とか、からかってきた奴とか、これ全部見返せんで」とジミーを鼓舞する。

ーー1話のさんまさんとのやりとりがすごく感動的でした。「名言」だらけのドラマでしたが、実際にあのようなやりとりがあったんでしょうか。

そうですね、そういうことを言うてくれたんですけど…。

客観的に見るとすごくいいこと言われてるんですけど、でも当時の自分は必死だったんですよ、生きていくのに。失敗ばかりしていて、その時その時が生きることに必死やった、という思いしかないですね。

ーー「この世に笑えないことはたくさんあるが、それをおもしろいと思って笑ったら全部勝ちになる。そういう風にできてる」、というさんまさんの言葉も印象に残りました。芸人さんの中には、自分の挫折やコンプレックスを強みにして笑いに変えている人がたくさんいるのでは、と思っていたので…。

確かに、もっと自分のことを知ったら人を笑かせられるんだろうなとか、そんなんは思ったりもしますけど…やっとこのドラマで自分自身を見つめ直してしまって…。(笑)

あ、ジミー大西ってこういう風に生きていかなきゃいけないんやろなと思って。

ーー「こういう風に生きていかなきゃいけない」とは?

やっぱり、上下関係に関わらず人に可愛がってもらったり、人に偉そうにしてはいけないとか、なんでも笑いに変えられたら幸せなことはないとか…。

ーーさんまさんの教えが、ジミーさんの生き方になっているんですね。ドラマを見て、やはりジミーさんは天性の「愛されキャラ」だと再認識したんですが、愛されるコツ、みたいなものってありますか…?

うーん。NOとは言ってはいけない。僕は断らないですね。ええ加減でも、ハイハイって言う。

でも、一生懸命やって失敗したら怒られないんですけど、ええ加減にやって失敗するとやっぱり怒られる。一生懸命やって失敗したらさんまさんは笑いに変えてくれますけど、ええ加減にやって失敗したらダメですね。だから、一生懸命やるのは大事やと思います。

でも、今はねぇ、LINEとかいろいろあるから…。

ーーLINE?

実際に目の前にいて喋ってるのと文章だと、相手への伝わり方とか違うから。どうやって可愛がってもらえばええんかなって…。(笑)

既読しなかったらどうしてんねんやろ、とか、あるからな。コミュニケーションの取り方がどんどんややこしく、難しくなってきたという感じはします。

ネットだから自由にできる、とは思わない

ーーネットやSNSの普及によって、芸人さんの活動の範囲も広がりましたよね。ジミーさんは、TwitterとInstagramもやられています。

Twitterは1年くらい前に始めたんですけど。最初はおもしろくてハマってもうて、フォローしすぎたら「それちゃう」って怒られたり…。女の子をどんどん何千人もフォローしてたんですけど、「出会い系ちゃうで、仕事やから」ってみんなから言われて。

ーー(笑)。ナナメ上な使い方です。

「可愛い」と思ったり、「あ、女の子や」って思ったら次々フォローして…向こうもびっくりしてもうて、「ホンマにジミーさんですか?」って聞かれるから、住所のところだけ隠して免許証の写真あげたりとかして…。

「それ危なすぎる、めちゃくちゃな使い方や」ってみんなから言われましたね。

ーー『Jimmy〜』は、さんまさんにとっては初めてネットに参入した作品でもあります。さんまさんは「民放より製作費が高い、自由にできる」と複雑な心境を吐露していましたが、ジミーさんは、ネットの方が自由にできる、と思うことはありますか?

ネットだから自由にできる、とは僕は感じてはいないんですけど…。

だって、ネットも規制かけてんちゃうかあ、と思う時ありますよね。この『Jimmy〜』も、もっと、「ええ!?」っていう話ありますからね。世の中に対する規制という意味で、ネットにもある程度の、ギリギリの規制はあると思います。

ーーテレビが窮屈になった、とも言われますが…。

確かに、テレビではバラエティはもう作れないんちゃうかな、と思うくらい厳しくなってきてるかもわからんですね。

ーーそれでもテレビにこだわりたい、と思ったりはしますか?

僕は、ネットとかテレビとか、こだわりは全くないです。全然、全くない。僕はどっちかっていうとネット派で、動画をたくさん見たりしますし。Netflixとか、AbemaTV、Amazonプライムとか、ネットの方で自分たちが好きなものを見て、みんなが好きなことをやる時代がくるんちゃうかな、とも思います。

インタビュー中は、ジミーの言葉の節々にさんまに対する強い信頼と尊敬が垣間見えた。ドラマでは、ジミーの絵の才能が発掘され、さんまの元を離れて画家の道を生きるか、芸人を続けるか、激しく葛藤する一幕も描かれる。

「人生の節目や自分の道に迷った時、何を心がけているか」と聞くと、こんな答えが返ってきた。

「さんまさんがよく言ってることですけど、『なるようにしかなれへんのやから』って。迷ったりしたとしても、そう思ったら楽やなと思います。やりたいって思うことがあったとして、それに近づくことはできるやろうけど、でも結局はなるようにしかなれへんのやから」

『Jimmy〜』で描かれるさんまとジミーの奮闘を見ると、この言葉は一層、味わい深くなる。

テレビではひたすらに明るい姿しか見せないお笑いの天才たちの、”アホみたいにホンマの話”を見て、彼らの新たな一面を発見してほしい。

■作品概要

「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」

7月20日(金)よりNetflixにて全世界190カ国独占配信中

企画・プロデュース:明石家さんま

中尾明慶 玉山鉄二
尾上寛之 六角慎司 宇野祥平 中村靖日 八十田勇一
木南晴夏 中村育二 濱田マリ
生瀬勝久 手塚理美 温水洋一 池脇千鶴 / 佐藤浩市 /
山崎銀之丞 徳永えり 楊原京子 金井勇太
ジミー大西 明石家さんま

監督:光野道夫

脚本・脚本監修:大岩賞介 脚本:山浦雅大 麻倉圭司

主題歌:MISIA(アリオラジャパン)「最後の夜汽車」 作詞・作曲:甲斐よしひろ

制作プロダクション:共同テレビジョン

制作:吉本興業 製作:YDクリエイション In Association With Netflix

©2018YDクリエイション

Source: ハフィントンポスト