委託先の女性自殺は「パワハラが原因」と訴えられた広告会社の社長、「事実無根」と反論。全面的に争う構え

ゲームやアニメ業界の求人広告を手がける会社の業務を請け負っていた女性(当時30)が自殺したのは、この会社の社長によるパワーハラスメント(パワハラ)が原因だったなどとして、女性の両親と元同僚らが会社と社長を訴えた訴訟の第1回口頭弁論が1月11日、東京地裁である。

それに先立ち、社長が1月10日、ハフポストのインタビューに応じ、パワハラで女性が自殺したとする原告側の主張は「事実無根」と反論、全面的に争う方針を示した。

一方、訴えの中で原告側から「奴隷的拘束」などと決めつけられたのは名誉棄損に当たるとして反訴したことも明かした。

インタビューに応じたのは「ビ・ハイア」(東京)の清水有高社長。訴訟をめぐって清水社長が本格的な取材に応じたのは初めて。

取材に応じたビ・ハイアの清水有高社長=東京

ビ・ハイアと清水社長が訴えられたのは2018年10月。一方、ビ・ハイア側も12月、原告の元同僚の男性1人に対し、不法行為によって営業収入が失われたとする別の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。

清水社長とのやり取りは次の通り。

「民事で冤罪」

――原告側は、女性の自殺が清水社長のパワハラが原因だと主張しています。

まず、彼女が亡くなったことは悲しくてつらいことでした。その上で、原告の主張は事実無根であると言いたいです。裁判でも争っていきます。

みなさんも一番知りたい部分でしょうが、私自身、語るのもつらい。詳細については裁判で明らかになっていくでしょう。

私が「人殺し」だと決めつけられているようで憤りを感じます。提訴するのは自由であり、裁判の中で私について主張を展開するのは、たとえどんな内容であれ構いません。

しかし、原告が裁判だけではなく、その後もしつようにTwitterなどでハッシュタグ(#)を付けた私のフルネームや「奴隷」という言葉を入れた投稿をしていることは許せません。

事務所にも差出人不明の残酷な写真つきの年賀状が届いたり、古着や古新聞とといったごみが宅配便で送りつけられたりしました。嫌がらせのメールや電話、不審者の訪問などもあります。

ネットでもリアルでも一方的な主張が広がっています。これでは民事で冤罪を着せられたようなものです。

原告による一方的な主張の拡散と彼らの主張をそのまま伝える報道が、こうした被害を引き起こしたと思っています。社会として許されることではありません。

――女性が自殺する直前、彼女に対して建物から飛び降りるよう、うながすことを言ったと原告側は訴えています。

もちろん、そんなこと言うわけがありません。

――パワハラと自殺の因果関係を示す根拠として、原告側は女性の遺書を挙げています。

遺書を見たら、女性が親との関係で苦しんでいたことがたくさん書かれています。それは私が今まで彼女から相談受けていたことや、彼女がブログやYouTubeで発信していた内容と一致します。

彼女が私に負った借金についても書かれていますが、それはほんの少しです。当然、自殺との因果関係なんて書かれていません。

――女性や原告の男性らは、清水社長から多額の借金を背負わされたと述べています。

借金については複雑なので答弁書や裁判の中で詳細は明らかにしたいと思います。ただ、原告側の主張はまったく違うということは言っておきます。

「『監視』は事実無根」

――原告はパワハラ被害の一つとして、会社事務所での行動をウェブカメラで監視されたり、社外での行動をスマートフォンのGPS機能で追跡されりしたと言っています。

まったくの事実無根です。彼らが最後に働き、住み込んでいた事務所にはそもそもウェブカメラはありません。確かにその前の事務所にはウェブカメラがありました。それはセキュリティーのためであって、来訪者を記録するために玄関に置いていただけです。彼らを監視するものではありません。

GPSについては、私も含め会社名義のアイフォーンを持っているのですが、それについている標準機能です。つまり、私も含め全員が全員の場所を確認できるようにしていただけです。

例えば午後4時に打ち合わせがあってみんなで集まろうと。来ない人もいるので、この機能を使って場所の確認をすることがありました。

もっとも、チェックするのは私ではありませんでした。彼らがチェックしていたんです。それをあたかも私が24時間、彼らの行動を見張るように使っていたと主張しているのはどう考えても事実無根です。

――原告らに朝まで仕事をさせるため、LINEで数分ごとに「起きてます」というメッセージを送らせていた、ということについてはどうでしょう。

これについても事実に反します。詳細はいずれ法廷で明らかにしていきます。もちろん、深夜帯にLINEのやり取りをしたことはあります。ただ、それは彼らを眠らさないための嫌がらせではありません。

――食事制限を受けていたと原告側は指摘しています。例えば1日1食、乾燥大豆ばかり食べることを強いられたとも。

食事制限なんてありません。むしろみんなでよく外食していました。プロレス観戦後にレストランに行ったり、千葉までドライブに行ってその途中食事を取ったり。

フレンチのフルコースやしゃぶしゃぶ、築地の寿司店、焼き鳥、高級ブラジル料理店。正月にはロブスターを食べました。

乾燥大豆を事務所に置いていたのは事実です。でもそれは彼らが希望したことです。「お米か大豆かどっちがいい?」って聞いたら、彼らは「栄養価が高い大豆がいい」と言ったからです。

大豆だけではなく、レトルトのカレーや米などもありました。あたかも大豆だけをばりぼり食べていたという主張はまったく事実に反します。

――暴言についてはいかがでしょう。

いろんな言葉が文脈とは切り離されて、訴えの中で針小棒大に使われていると思います。

――原告らを強制的に事務所に住まわせていた、とされています。

なぜ彼らがオフィスに住んでいるかという疑問は当然あるでしょう。ですが、大前提として、私は彼らにオフィスに住んでほしくなかった。

だって当然でしょう。一つはセキュリティーの問題があります。サーバにデータがありますし。もう一つは警備システムの問題です。事務所内に人がいると、警備会社と契約して導入した人感センサーが使えません。

彼らに早く家を見つけてほしくて一緒に物件を探したぐらいです。

――原告の男性1人とは大学時代からの友人だったのに、なぜ訴訟に発展するほど関係が悪化したのでしょうか。

男性は昨年3月、突然失踪しました。その際、彼が置いていった預金通帳から不正行為の疑いが発覚したんです。

ビ・ハイアの業務として請け負ったはずの仕事の代金を個人的に得ていたという背任疑惑です。その後、こちらも弁護士を通じて調査を進めました。原告が提訴したのはその後です。時系列を考えると、原告が訴えた理由が見えてくるかもしれません。

――女性はなぜ自殺したのだと思いますか。

色んな要因が複雑にからんでいるかもしれませんし、簡単にわからないと思いますが、いずれにしろ、私の責任だと決めつけるのは憤りを感じます。

むしろ私は原告側に対し、疑問があります。自殺直前の12時間、彼女のそばにいたのは原告の元同僚たちです。彼女に異変はなかったのか。何も気づかなかったのか。それについて彼らは何も語っていません。

Source: ハフィントンポスト